中二病。それはおそろしい病
前回の「ハリーポッター」や「十二国記」は読者が成長することを想定して書かれています。
ですが、それとは逆に「中・高校生向け」でずっと続く小説もあります。
このタイプは特にぶっ刺さるのが中・高校生というだけで、大人が読んでもちゃんと面白いです。
いわゆるライトノベルでしょうか。
「十二国記」は昔、ライトノベルのコーナーにあったのですが、本屋さんでその編のコーナーをお友達と一緒に見ていたら「わー!この表紙のキャラかわいいー!」ってなる本があったんですね。
そしたらお友達が「この本面白いよー!」と教えてくれたので
私は「十二国記みたいなお話なのかなー?」と思って買ってみることに。
それが今から紹介する「キノの旅」と「戯言シリーズ」。
この2作品を中学2年生の時に読んだ私は中二病を発症することになります。
中二病が分からない方のために一応説明すると、
中二病っていうのは「思春期にありがちな自己愛に満ちた空想や嗜好」のことらしいです。
なんだか難しい説明。
ここはwikiから引っ張ってきた典型的な症例を見て感じ取って欲しいと思います。
- 洋楽を聴き始める。
- うまくもないコーヒーを飲み始め「コーヒーはブラックが美味い」などと強がる。
- 売れたバンドを「売れる前から知っている」とムキになる。
- やればできると思っている。
- 親に対して「プライバシーを尊重してくれ」と激昂する。
- 社会の勉強をある程度して、歴史に詳しくなると「アメリカって汚いよな」と急に言い出す。
…中学生というのは
社会の歪みとか、人間の愚かさとか…
なんかそういうのが見え始める時期だと思うんですよ。
そして急にそれが全てみたいに思えて過剰な一般化をしてしまう。
一部が全部に見えちゃう。
「人間って…きたないっ」みたいな。
そういう感情に非常にマッチした作品がこちら。
キノの旅
キノの旅 the Beautiful World (電撃文庫)
ざっくり説明
連作短編ファンタジー。
「○○の国」に旅人のキノが3日間滞在するお話を一話完結型で描いたライトノベル。
世界観
城壁にぐるっと囲まれた都市国家が点在する世界。
国の外は盗賊や獣などがいる無法地帯。旅人や商人など、国の外を行き来する者は大抵何らかの武装をしています。
進撃の巨人が分かる方はパラディ島のような国が陸続きに点在していると思ってもらえれば。
そしてその国はそれぞれまったく異なった文化や文明を持っています。
原始的な国、近未来的な国。
大きい国、小さい国。
旅人を歓迎する国、利用する国。拒絶する国。
独特の制度や価値観を持つ国。
その国が持つ様々な特徴を「〇〇の国」とひとことに表してタイトルにしていることが多い。
「北風と太陽」みたいな話
「うさぎとかめ」「アリとキリギリス」「王様の耳はロバの耳」「オオカミ少年」などの『イソップ物語』のように
「こういう考え方や行動をしてるとこうなりますよ」
という教訓を得る寓話的な世界観になっています。
旅人のキノというどこの国にも属さない中立の存在から見る「○○の国」の姿を通して読者に教訓を与える話という構造。
…になってるなぁというのは大人になってから気付いたことで、その当時は気づきませんでした。
ただ、人間の醜さや愚かさ、集団心理の怖さみたいなものにはしっかりビビッてました。
このビビりは「自分がそんな大人にならないように」とか「騙されないように」という教訓になりました。
なんて素直な読者なんだ私。
人間ってきたない?
様々な教訓を得た代わりに、中学生の私は「人間ってきたないよな」となってしまったわけです。
これは「過度な一般化」というやつです。
要するに主語がでかい。クソデカ主語。
「きたない人もいる」ことを知って「人間がきたない」と思っちゃう。
この点が中二病。
でもそれで良かったと思います。
だからこそ強烈に記憶に残って教訓になるのだし。
いろんな人がいることを知れば偏った考え方も治ります。
偏った考え方をしていた時代があるから、偏った考え方をしてしまう人の気持も分かります。
中二病は中学生のうちになっとかないと。
水ぼうそうと一緒で、大人になってからかかるとしんどい…
看病する人が大変。
そしてもっと大変な中二病になる作品がこちら。
戯言シリーズ
知ってる人は「あー!!」ってめちゃ笑ってくれたと思います。
読んだものをすべて中二病にしてしまう。それが戯言シリーズ。
ざっくり説明
作者は現在ラノベ作家で最も有名な1人、西尾維新です。
このシリーズ最初の1冊である「クビキリサイクル」は彼の処女作。
西尾維新=NISHIOISHIN
逆から読んでもにしおいしん。
これ中学生の私に大ウケ。
このシリーズは初期はミステリーものだったんですが、だんだんキャラクターに人間やめた能力を持つやつが増えてきてミステリーが成立しなくなり、最後はバトルものになります。
めちゃくちゃやな。
名前のクセがつええ
この作者さんのシリーズはぶっとんだ名前が出てくることで有名です。
るれろさんとか、むいみちゃんとか。
想影真心と書いておもかげまごころ、と読ませるのはなんかいい。
私のお気に入りネームは七々見奈波。
ななななみななみ。
二つ名のクセもつええ
この小説、異名とか二つ名を持った人しか出てこない。
まず、主人公の「ぼく」こといーちゃんは《戯言使い》
ザ レ ゴ ト ツ カ イ ☆
彼はどれだけ中二くさいことを言っても文末に「…戯言だけどね。」を付ければ許される。
いや、許されて、しまう。故に《戯言使い》。
(※↑ いーちゃんの脳内は大体こんな感じです。)
他にもいろんな二つ名を持つキャラがたくさんいます。
笑顔が素敵な殺人鬼のことを《人間失格》とか
《死線の蒼》と書いてデッドブルーと読ませたり。
《紫に血塗られた混濁》とか。
ム ラ サ キ ニ チ ヌ ラ レ タ コ ン ダ ク ☆
こんな感じの二つ名が30個くらい出てきます。
また《人類最強》という二つ名を持つ女性キャラが登場します。
その名も哀川潤。
この二つ名は今でこそリヴァイ兵長や五条悟に用いられますが、初めてこの肩書きを使ったのは哀川潤ではないでしょうか。
みんな大好き《人類最強》
《人類最強》に対抗して《人類最終》《人類最悪》も存在します。
主人公は《人類最弱》という二つ名も持っています。
というか三つも四つもある。
この当時、二つ名…めっちゃカッコイイって思ってました!!
中学生のころ自分の二つ名を考えていたんですが、まったく思い浮かびませんでした。
思い浮かんでいたら名乗っていたのでしょうか。
恐ろしいです。
そんな私に最近、友人が二つ名をくれました。
《光のサイコパス》だそうです。
彼女いわく「ルフィみたいなかんじ」らしい。
光栄ですね。
私は《光のサイコパス》ゆーみん。
中二病といえば
この頃めちゃくちゃ「幽☆遊☆白書」の飛影が大好きでした。
彼ほど中二病を極めているキャラクターはいないと思います。
邪眼だし、右手が疼くし、黒衣を纏った上に包帯巻いてますからね。
フルコンボです。必殺技もすごく中二病でいい。
邪 王 炎 殺 黒 龍 波 ☆
飛影の物静かで無口でクールなところが大好きなのですが、序盤は全然違いますよね。
あの全身邪眼男のときのセリフ。文字だけでなんぼでも笑えます。
オレがマヌケだと? バカ野郎がマヌケは貴様だ!!
オレが何もしないで女を返すと思ったのか!? ボケがぁ!!
その女の額を見てみろ!面白いものがあるぞ! はははぁ!確かに身体は返したぞ!
だがその女の運命はオレの手の中にあるのだ!! ははは!嬉しいか?
その女はオレの部下の第一号にしてやるぞ その目が開ききればその女は完全に妖怪の仲間入りだ――!
さぁ楽しくなってきたな!今度は追いかけっこをしようか! この剣の柄の中に解毒剤が入っている!!
女を助けるにはそれを飲ませるしかないぞ! 欲しければオレから取ってみろ!!
100年かかっても無理だろうがな! 舐めるな!このスピードについてこれるか! どうだ!?
貴様にはオレの残像すら捕えることができまい!
序盤の飛影。信じられない程ご機嫌
むちゃくちゃテンションたけえ。
一生分わろてますね。飛影。はははぁ!
次回!飛影が大好きな闇落ち中学生だった私が《光のサイコパス》に浄化されていく―――。
「読書遍歴(中学生編漫画ver.)」おたのしみに!
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